
エアバスがこれまで民間航空機の開発・製造で蓄積してきたノウハウや技術は業界最先端をゆくもので、これらが今度は軍用機の分野で活用されます。
エアバスは子会社のエアバス・ミリタリーを通じて、軍用輸送機のA400Mを開発しています。エアバス・ミリタリーには、エアバスの他、EADS-CASA、ベルギーのFLABEL、トルコ・エアロスペース・インダストリーが出資を行っています。
A400Mはエアバスの民間航空機ファミリーで蓄積された経験を軍用機分野に転用したもので、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州の国々が遂行する人道支援活動や平和維持活動に必要な輸送能力を提供します。A400Mでエアバスは64%の作業分担を担当し、プログラム全体の管理を行っています。
A400Mは巡航速度マッハ0.68から0.72のスピードを持つターボプロップ機。このクラスの軍用輸送機として最も高い初期巡航高度を持っています。戦略的および戦術的用途に備え、地上支援のない未舗装の滑走路などでも運用が可能。20トンの貨物を積載し、6,389kmを無給油で飛行を行います。つまり、欧州から中央アフリカや中東地域まで飛行できる能力を持つのです。空中給油を受けることも可能で、しかも2時間以内でタンカー機にも変更できます。最大積載量は37トン。「欧州機材計画(ESR)」で明示されている機材は全て搭載可能です。
現在の確定受注機数は192機。A400Mをローンチした国々は7カ国で、最初に合計180機が発注されました。2005年4月には南アフリカ共和国が国際プログラム・パートナーとして加わりました。南アフリカ共和国はA400Mの設計段階から作業に加わり、製造も行っています。後に8機のA400Mの引き渡しを受け、南アフリカ共和国を始めアフリカ地域の戦略輸送業務に従事する予定です。また2005年12月にはマレーシアも参画し、A400Mの部品の設計・製造を行います。マレーシアは4機のA400Mの発注も行いました。
A400Mプログラムは現在最終製造段階に入っており、製造者連番MSN 001としてスペインのセビリャにある最終組立工場で作業が行われています。それぞれの機体部品が世界中に広がる製造拠点で生産され、この最終組立工場に運ばれます。独ブレーメンの胴体組立工場では各胴体部位が結合されました。主翼は英フィルトンの工場で完成し、また、前胴部が仏サンナゼールから、水平尾翼がスペインのタブラダ、垂直尾翼が独スターデから最終組立工場のセビリャに運ばれました。
地上テスト用の「A/C5000」が現在、マドリード近郊のヘタフェで組み立てられています。この組立作業が終了すると、2008年初頭から機体構造のテストが実施されます。
2006年2月にはエンジンとプロペラの組立が完成、同年、A400Mに搭載されるTP400-600エンジンの開発・製造が続いています。TP400は2007年11月に、英マーシャル・エアロスペースでAC-130フライング・テスト・ベッド(FTB)に取り付けられました。
欧州各地の工場で約6,000人の従業員がA400Mプログラムに携わっています。