世界最大旅客機
羽田2500mの滑走路から
欧米へのフライトも可能
10月15日の早朝、エアバス社の総2階建て大型旅客機A380が、10月21日の新国際線旅客ターミナルオープンに向けて活気づく東京国際空港(羽田)に降り立った。A380が当空港に着陸したのは初めてのこと。羽田が再び国際化へとすすむその担い手として、大きな期待を集めている。
およそサッカー場ほどもある大きな機体が無事に着陸できるのか。そんな一部の不安の声をよそに、A380は静かに羽田に到着した。
羽田空港の滑走路は、A滑走路C滑走路が3000メートル、B滑走路と新たに運用をはじめるD滑走路は2500メートル。国際空港の滑走路としては長いほうではない。すでにA380が就航している成田空港では、主に使用している滑走路の長さは4000メートル。平成19 年10月にA380がワールドツアーの一環で関西国際空港に立ち寄った時の滑走路も4000メートルだった。この事実から推測すれば、1000メートル以上も滑走路が短い羽田への離着陸を不安視する人がいてもおかしくはない。
ところが、エアバス社によるとA380は民間機では世界最大でありながら、従来の大型機よりも短い滑走距離での離着陸が可能で、滑走路が2500メートルあれば問題はないという。従来の航空機よりも広く設計された翼が高い揚力を引き出し、離着陸の性能を高めている。
滑走路の幅も、世界のほとんどの空港が標準幅として採用している45メートルでの運用が、欧州航空安全局と米連邦航空局ですでに承認され、可能になっている。滑走路の幅においては羽田空港も条件をクリア。現在では、世界80以上の空港での運用が可能といわれるA380だが、そのひとつが羽田空港というわけだ。
これまでも、年間に約28万5000回の離着陸を繰り返して来た羽田空港。滑走路や誘導路にかかる航空機の荷重ダメージは、かなり大きいはずだ。
A380は、主脚に20個のタイヤを装着しているため、既存の大型機よりも荷重は軽くなる。
また、騒音に関しては、離陸時には既存の大型機の約半分にまで削減されている。着陸時でも、1/3から1/4少ない音量であることを騒音調査で実証。このような視点からも、24時間機能するハブ空港となる羽田には、ふさわしい機種といえるだろう。
アジア太平洋地域における航空旅客交通量は、年間平均5.9%の増加。航空貨物輸送量は、年間6.3%の増加とエアバス社は見通しを立てている。今後20年間で当地域は世界の旅客輸送量の約30%、貨物輸送量の約40%を担う見込みで、世界最大の航空輸送市場として欧米を追い抜く勢いだ。
日本における航空輸送の将来を見てみると、成長を続ける一方で、インフラ面における制約がますます厳しくなることが予測される。
旅行志向が強い若者の存在や、快適性を重視する旅行好きの中高齢層の増加。外国在留邦人や訪日外国人の増加など、航空輸送量のさらなる増大がその要因だ。
このように、ますますの利用客が見込まれる日本の航空市場において、将来の需要増に対応し、効率的に発展させていく道のひとつが、より大型で、経済性が高く、環境に配慮した航空機の運航となる。
そういう意味でもA380の今後の活躍は、羽田のハブ化をさらに推進させ、人を集め、その結果として大いなる繁栄をもたらすことだろう。
欧州エアバス社か製造した、史上最大の総2階建て民間ジェット旅客機。380以上の特許を申請し、機体構造はもとより、フライト・コントロール・システムや重量を軽減する複合材などにおいて最も革新的な技術を採用。「21世紀のフラッグシップ」と呼ばれている。初号機は、2007年10月15日にシンガポール航空に引き渡された。以来、エミレーツ航空、カンタス航空、エールフランス航空、ドイツルフトハンザ航空と続き、現在ではアジア太平洋地域や欧州をはじめとする世界17の航空会社から234機の受注を受けている。全長73メートル、翼幅80メートル、全高24メートル。標準は525人乗りで、航続距離は1万5400キロメートル。エンジンには、ロールスロイス社製トレント900やエンジン・アライアンス製GP7200を使用している。1座席あたりの占有スペースを既存の大型旅客機より広く確保しながら、運航コストは20%削減。経済性と居住性に新たな業界基準を確立した。